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社会福祉士の合格率が低い理由は?社会福祉士の難易度は?

今年度第34回社会福祉士国家試験の受験を検討している人の中には、合格率や難易度が気になっている人もいるでしょう。

社会福祉士の資格は国家資格で範囲も非常に広く、福祉の資格では難しいと認知されています。

しかし、資格取得の難易度としては普通のレベルとされています。 それでも毎年の合格率低く、30%程度を推移している状態。

なぜ合格率が低いのか?そのわけは?難易度は?

具体的に解説したいと思います。

気になる社会福祉士試験の合格率は?

直近5年の社会福祉士の合格率の平均は28.9%でした。

過去5年で最も合格率が低かった年は、平成29年度の25.8%で、最も合格率が高かった年は平成30年度の合格点99点30.2%です。

平成25年度は合格点72点 18.8%と低かったのですが、ここ数年は26~30%のあたりで落ち着いています。

実施時期 合格率 受験者数 合格者数
第33回 令和2年度 29.30% 35,287人 10,333人
第32回 令和元年度 29.30% 39,629人 11,612人
第31回 平成30年度 29.90% 41,639人 12,456
第30回 平成30年度 30.20% 43,937人 13,288人
第29回 平成29年度 25.80% 45,849人 11,828人

合格者の内訳は、男性が約34%で女性が約66%。福祉系大学等の卒業者が約57%で、養成施設の卒業者が約43%と内訳から福祉系の大学出身者が多いです。

また、合格者の半数以上は30歳までの人が多いですが、30代や40代で取得している人も4割近くいるので、社会人でも受験を諦める必要はありません。

合格率が低い理由は?

社会福祉士試験の合格率が低い主な理由は

「出題範囲の広さ」

「勉強時間が足りない」

「勉強の効率化が図れていない」

「試験当日の落とし穴」

の4つです。

これら4つの理由は社会福祉士試験に限らずとも、合格率が低い国家資格試験に該当するのではないでしょうか?

1 出題範囲の広さ

社会福祉士試験の特徴はなんといっても出題範囲が広いことで、合格率が低い最も大きな理由の1つです。

ワークブックを開いた段階でたじろいでしまう圧倒的な量。

社会福祉士試験の出題範囲の科目は18科目もあり、福祉系資格の中で最も科目数が多いのです。

社会福祉士の試験科目は以下の通りです。

人体の構造と機能及び疾病 保健医療サービス
心理学理論と心理的支援 権利擁護と成年後見制度
社会理論と社会システム 社会調査の基礎
現代社会と福祉 相談援助の基盤と専門職
地域福祉の理論と方法 相談援助の理論と方法
福祉行財政と福祉計画 福祉サービスの組織と経営
社会保障 高齢者に対する支援と介護保険制度
障害者に対する支援と障害者自立支援制度 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
低所得者に対する支援と生活保護制度 就労支援サービス、更生保護制度

出題科目が多く全ての科目で得点を取らなければならないため、捨て科目を作ることができません。

正直難しいです。

知らない人物名や制度を覚えていく事は非常にストレスです。

民法や経営、社会調査など聞いたことも無いような問題が多数です。

18科目もあるので、得意、不得意な科目がどうしても出ると思われます。

タロス

社会福祉士試験は、苦手科目が得意科目よりも多く、得意科目で以外に点数を落としてしまいカバーできずに合格点に届かない人が多い傾向があります。

これだけ出題範囲が広いと、トータルで合格点に到達するためにいかに苦手科目を克服できるかが合格のポイントです。

試験日は決まっているので試験日から逆算して勉強の計画を立てる必要があります。

2 勉強時間が足りない

働きながら勉強しなければならない人が受験者の半数なので、受験日までに合格レベルの勉強が出来ていないことが理由の一つです。

共通・専門科目を繰り返し行う中で共通を終えると専門科目を忘れる。

専門科目を終え共通科目に戻ると忘れている。こんなことはしょっちゅうです。

一つの問題に対しても言い方ひとつで大幅に解答が変わってしまうため、しっかりと覚え込むが必要です。

例えばよく出る人名、「リッチモンド」一人に対しても問題が何問でも出来上がってしまうわけです。

完全に覚えきる事はほぼ不可能です。ですが6割は覚えておかないといけません。

社会福祉士は短期間勉強して合格できるほど甘い試験ではありません。

社会福祉士試験に合格するには、社会福祉士試験の受験資格を取得するまでの期間を除き、しっかりと集中した勉強時間が必要です。

資格受験のために勉強に専念する大学生なら、長時間の勉強をこなすことは難しくないと思われます。

しかし、社会人の場合、養成施設に通って実務を全うしながら勉強しなければならないので、勉強時間を確保することが困難です。

年齢によっては家庭や仕事のことで時間を使わなければならない人もいるので、勉強に専念できる環境にない場合もあります。

3 勉強の効率化が図れていない

勉強のモチベーションを維持できない人の中には、十分すぎる勉強時間を確保できていても不合格になる人もいます。

どの勉強にも言える事ですが、やる気がなくダラダラと勉強していては全く意味がありません。

タロス

ただ座っていただけ。上の空ということです。

社会福祉士試験は出題範囲が広いので、メリハリをつけて効率良く勉強する必要があります。

しかし、モチベーションが低ければ、勉強にいくら時間を割いたところで無駄です。

モチベーションは勉強の集中力に影響するので、勉強内容の定着率に差が発生します。

したがって、合格するにはただ単に勉強時間の確保だけでなく、勉強へのやる気を長期間維持することが重要です。

モチベーションを高めるためには、資格取得後の自分の将来像をイメージしておくことが求められます。

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相談員として名称独占でスペシャリストと呼ばれたい。

福祉系だけではなく、障害関係、保育関係にも携われるのです。

将来のビジョンが明確で、資格取得に対して貪欲な方が合格するのです。

4 試験当日の落とし穴

学力が十分に合格レベルに到達していても、本来の自分の実力を発揮できない方がいます。

まず、試験会場への遅刻。交通機関のトラブルなど。

続いて回答ミスは本番での失敗として定番です。

受験番号のマークは記入されたうえで配布されるようになりましたが、名前の書き忘れです。

次に問題数が150問もあるのでマークシートへの回答がずれること。修正している時間はあまりありません。

また、寒い時期なので体調管理は必ずです。1か月前から絶対に風邪を引かないように体調管理に努めましょう。

せっかく模試や過去問がばっちり出来ていても、新しく見る問題へのストレスや残り時間のストレスで本来の実力を発揮できなかったり、仕事や家庭の事情で欠席もあり得ます。

計画的に勉強をして合格レベルまで学力を高めていても、当日思わぬ落とし穴で不合格になることがあるのです。

本人以外の都合での欠席なら仕方ないかもしれませんが、パフォーマンスを最高に発揮するためにもミスの確認や体調管理を徹底しましょう。

私も午前の問題で0点科目があるのではないか?午後やってももう無駄だ。

午前に全然できなかったというストレスから、午後の問題では2問も複数選択の問題を読み間違え、正答同士でにらめっこし1つしか回答せず時間もロスしました。

試験中は水分も取れないのでいつものリラックスした勉強の環境とは違う事を理解してください。

また会場ごとにも環境は異なり、私は50人くらいの教室の一番前(試験官が終始目の前にいる)で試験官がうろうろしていたり、アナウンス用のマイクを落とされたりと最悪な環境でした。

5 ケアマネ試験と難易度を比べると?

資格 合格率
社会福祉士 25~29%前後
介護福祉士 65~70%程度
精神保健福祉士 60~70%程度
ケアマネージャー 10〜20%程度

上記だけで判断すると、ケアマネージャーの方が合格率が低いので難しそうに感じるかもしれませんが、そもそも受験資格が無資格から介護福祉士を取得すれば受験できるケアマネージャーと、受験資格取得自体が難しい社会福祉士試験を合格率だけで判断し、難易度を安易にこっちが簡単。あっちが簡単など適当に決まるものではありません。

ここに関しては社会福祉士、介護支援専門員の資格を持たないものが適当に記事を書くべきではないのです。

試験で気を付ける事

18科目の中で0点の科目を出してしまうと、その時点で不合格になります。

苦手な科目は避けてしまいがちですが、勉強時間を確保できない科目でも1問でも正解すれば、18科目のトータル点数次第で条件を満たせるのです。

時間が足りずに最後の問題にたどり着けないなどないように、最後まで諦めない事です。

社会福祉士の試験時間は240分。午前120分。午後120分。

時間に余裕があるように感じるかもしれませんが、全く余裕はありません。

1問に時間をかけてしまうと、終了時間が気になりだし試験終了が迫るにつれ、冷静に問題を解けません。

気持ちが焦ってしまうとミスが生じますので、分からない問題は飛ばして一旦最後までやることが必要です。

テキストに〇をつけてからマークシートに転記する方も絶対に焦らないようにしましょう。

問題はほぼ確実に50問は間違えてもてもOKです。

午前中にダメだったと感じてしまっても気持ちが折れないように絶対に諦めない心が必要です。

ダメだったと感じるのは皆一緒なのです。

社会福祉士試験の合格ラインと試験後の心境

試験の合格ラインは、総得点の約60%以上、かつ18科目の全てに1点以上得点することです。

総得点の6割以上(90点)得点すれば合格ではなく、問題の難易度によって合格ラインが補正されるため毎年合格基準となる得点が異なります。

科目数が多く不得意科目を得意科目でカバーするのは困難です。

得意科目を増やすよりも苦手科目を減らす方針で勉強したほうが、トータルの得点も伸びます。

試験後はまず早くて当日夜間から、翌日にかけて各機関から回答が発表されます。

そこから自己採点をし解答割れが何個か出てくるので一喜一憂し、ボーダーギリギリだと3月の発表まで地獄を見るのです。

名前はちゃんと書けていたか?マークシートのずれはないか?ちゃんと消せていたか?本当にそこが修正個所であったか?

本当に発表されているボーダー通りの点数なのか?不適切問題はあったのか?第30回の99点というイレギュラーな魔物がいる。

と寝ても覚めても不安で一杯になるわけです。

合わせて読みたい:

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第33回試験では合格率が29.3%!前回試験と同じ合格率!

第33回試験(2020年2月実施)の合格率は、29.3%でした。

ここで、過去5年間の合格率、受験者数、合格者数の図です。

▽社会福祉士国家試験 合格者率と受験者
※全国の合計数値

実施時期 合格率 受験者数 合格者数
第33回 令和2年度 29.30% 35,287人 10,333人
第32回 令和元年度 29.30% 39,629人 11,612人
第31回 平成30年度 29.90% 41,639人 12,456
第30回 平成29年度 30,20% 43,937人 13,288人
第29回 平成28年度 25.80% 45,849人 11,828人

第33回試験と第32回試験で比較した場合、受験者が4,000人程減り、合格者は1,200人程減っています。

通常、合格基準は総得点の60%『総得点150点に対し、得点90点以上の者。ただし、問題の難易度により補正する』とされています。

しかし、今回の試験では『総得点150点に対し、得点93点以上の者』とプラス3点分の調整がされています。

点数が引き上げにも関わらず、合格者があまり変わらなかったということは受験者の質が上がったという事です。

社会福祉士国家試験の合格ライン

◎第33回 筆記試験の合格基準
1 総得点150点に対し、得点93点以上
2 「18科目群」すべてで最低1問は正解すること
全150問(1問1点)

〇合格基準点

実施時期 合格基準点 / 総得点
第33回 令和2年度(20212月7) 93点 / 150
第32回 令和元年度(202022) 88 / 150
第31回 平成30年度(2019年2月3日) 89点 / 150点
第30回 平成29年度(2018年2月4日) 99点 / 150点
第29回 平成28年度(2017年1月29日) 86点 / 150点

第33回試験では93点でした。総得点の60%は90点となりますので、プラス3点分の調整がされたことになります。

試験難易度によって十分補正される可能性もありますので、総得点の60%である90点は最低でも獲れるよう準備しておく必要があります。

まとめ

社会福祉士試験は記念受験をされる方も少ない中での合格率30%以下なので難易度は高いです。

社会人の方の勉強時間の確保は非常に困難だと思います。

しかし、受験資格まで得たのであればラストスパートだけです。

そこまでの道のりも非常に困難であったことや忘れない事。

受験費用や教材費用を無駄にしない事。

自分の一年間を無駄にしない事!

資格難易度的には福祉系では最高峰ですが、年齢に関係なく取得できる試験なので、勉強を継続すれば十分合格できる国家資格です。

合格を目指しましょう!

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