精神保健福祉士通信課程 レポート「ICIDHとICFの違い」に関して 例
1000~1200字対応
参考文献:
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世界保健機関(WHO)(2001)『国際生活機能分類:ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)』厚生労働省(日本語訳)
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厚生労働省(2002)「国際生活機能分類(ICF)日本語版」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/05/tp0513-1.html -
木村元(2005)『障害の概念と国際生活機能分類:ICFの理論と活用』中央法規出版
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石川准(1995)『障害学への招待』明石書店
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大橋謙策・田中康雄編(2011)『新版 特別支援教育の基礎と実践』学研教育出版
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20世紀後半、先進国では寿命の延長や疾患の増加、戦争・災害による障害者の増加といった社会的変化が起こった。また、ノーマライゼーションをはじめとする障害者の人権尊重の意識が高まったことで、障害が人々の生活や人生にどのような影響を与えるのかについて、国際的に注目されるようになった。
このような背景の中、世界保健機関(WHO)は1980年に「国際障害分類(ICIDH)」を発表した。これは、それまで医療中心に捉えられていた障害の概念を、「機能障害」「能力障害」「社会的不利」という三つのレベルで捉え直そうとする試みであった。社会的不利とは、障害が社会生活の中で行動や活動に及ぼす制限のことを意味する。この分類は、障害を単なる医学的問題ではなく、社会的側面も含めて考える重要な一歩となった。
しかしながら、ICIDHにはいくつかの問題点もあった。例えば、障害を個人の問題としてのみ捉えており、環境的要因が含まれていないこと、また構成要素間の関係性が明確でなかったことなどである。さらに、用語に否定的なニュアンスが多く含まれていたため、障害をマイナス面から見る視点が強く残っていた。
これらの批判を受けて、WHOは1992年からICIDHの見直しに取り組み、障害当事者も含めた議論を重ねた。そして2001年、新たに「国際生活機能分類(ICF)」として改訂が正式に決定された。
ICFでは、従来の障害観とは異なり、障害を「生活機能」という中立的かつ前向きな視点から捉えている。健康状態とそれに関連する状況を科学的に理解し、また共通の言語で表現することにより、医療、福祉、教育など多様な分野の専門家同士の円滑なコミュニケーションが可能になることを目的としている。
ICFの大きな特徴は、「環境因子」と「個人因子」が新たに追加された点にある。これにより、障害は単に個人の能力の問題ではなく、周囲の環境や社会のあり方とも深く関わっていることが明確にされた。また、ICFでは構成要素同士が双方向の関係で影響し合っており、人間の生活全体を包括的に捉える視点が強調されている。こうした視点は、支援や施策の在り方を見直す上でも重要な指針となる。
このように、ICIDHからICFへの移行は、障害を単なる「欠如」ではなく、人間の「生活機能」として中立的に捉える方向への大きな転換であった。ICIDHという土台があったからこそ、より多角的で実践的なICFが生まれたとも言える。今後も、障害を持つ人々の生活をより良く理解し支援するために、社会全体で柔軟かつ包括的な視点を持つことが求められている。障害をめぐる考え方や制度は、常に見直しと改善を繰り返すことで、より多様な人々が共に生きる社会を実現するための鍵となる。